間違っている

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» 10年目のレポート 

山下陽光氏の一連の広島調査が目茶苦茶面白い。
原爆投下以前は産業奨励館と呼ばれていた建物(現・原爆ドーム)を建てたチェコ人の建築家ヤンレツル、
戦前の広島アートシーンの中心人物・ダダイストで画材商の山路商(終戦1年前に病死)、
終戦後すぐ原爆ドーム前で開店した「アトム書房」を追っている

山下陽光氏の広島調査に関するテンションや動機のようなものや
その時点までに判明した事が
4/7の素人の乱ラジオhttp://www.shirouto.org/archive/item/7
の40分め~で語られている。
これに引き込まれた



発想、動機、調査の対象全てがカテゴライズしにくく
それでもなおかつ目茶苦茶面白い話なので、
興味のある方はまず前記のラジオでのトークを聴取されたい。

何が面白いのか説明したいのだが説明しにくい。
面白い空気はピリピリ伝わるのだが、名づける事が出来たり結論やその為の筋がある話ではないからだ

それでも、掴み難い山下氏の動機のようなものを見てみる。
筋としても読めるところ(=面白さの核心ではない&過剰読解の可能性有)だけを見る。
まずヤンレツルについて。
問は「なぜ原爆ドームが残されたのか」



ラジオでは山下氏は、
周囲の被爆建物が整理されていく過程で、
残った原爆ドームが異様に存在感を増してしまったため
壊すことが出来なくなってしまったのでは、と語っている。
しかしこれが結論ではない。

平和公園設計に際し当初原爆ドームは計画の中に入っていず、
又「当時を思い出すから」という理由で保存反対運動も強固にあった。
しかし丹下健三が原爆ドームとセットでの平和祈念公園の設計案を提出し
それがコンペで一位をとり
公園とドームは現在の形になった
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B9%E4%B8%8B%E5%81%A5%E4%B8%89#cite_note-12

そのような経緯も踏まえ、
「とくに重要視もされてなかった廃墟」と言える原爆ドームが、一体何で残されたの?
という真っ白な疑問が再び発せられる。
筋だった話のうえでは、
直前のトークで答えは出ている(丹下健三の設計案のせい)訳だが、
それは答えではない。

この「なぜ」は手続き的な理由とは全然別の、
人々の中で「産業奨励館」が「原爆で崩れかけた廃墟」になり「原爆ドーム」になっていった
意識の変性過程を問うている。
(少なくとも私にはそう感ぜられ、それが私にとってのこの話の面白さの一面をなしている)

(上記あえて「筋だった部分」だけを抜き出してみた訳だが、
それが面白さのすべてではないということは言っておかねばならない)

(「地図をめくったら裏にもう一枚宝の地図が隠れていた」ような、
「発想の秘境」の探検、正史に描出されない「もう一つの歴史」の発掘、
情報や人が絡んだり芋づるになったりする調査自体のエキサイティングさ…
全体がえも言われず面白いんである)

以上、説明しにくい山下陽光氏の広島調査の動機らしきものを、
とくにヤンレツルについて見てみた。
以下はそれについての自分の感想となる。
山下氏の話の中で、私個人が一番面白いと思った点について過剰読解してみたい。

山下氏は、トークの初端に、原爆ドームを世界遺産にしてしまったことを
「ヤンレツルに謝んなきゃいけないんじゃないか」と言った。
自分は服を作っているが、
例えばベネトンが戦死した人が着ていた服を展示したりしているが、
それは服を作った人の意志とは関係ないじゃないかと。

この発想は自分には大変重要に思える。
高校以来、原爆の何が一番問題なのかを考えてきた。
結論は原爆が「無感動に無感情に人を抹殺するためのシステム(国家とか)を構成する最も優秀な効果器」
であることが一番問題なのだ、ということだった。

銃や剣であれば殺すべき人間と相対することは必須である。
殺す過程も非常に肉体的な作業である。
恐れや憎しみをしばしば必要とするかもしれない。
しかしそれはまだ人間的な過程なのである。
核兵器の行使に際し、システムを構成する個々人には葛藤の余地が無い。

国家元首が核ボタンを押せばその伝令は、
全き正確さをもって電気信号のように実行されねばならないのである。
そして炸裂する熱球は正確無比に数十万の人間を掃き去ってくれる。
こんな優秀な「人口調整装置」はない。
もっと「合理的」になると「人を殺して建物を残す」中性子爆弾という物もあるらしい

更なる問題はそこに「悪人」がいなかったりすることである。
国家元首は「戦争を長引かせず若者の命を救うため」と本気で思っているかもしれないし、
末端の兵士に至っては牧歌的な微笑みさえ浮かべているかもしれない。
このシステムはそういう「装置」なのだ
Tibbets-wave2.jpg


個々の判断について倫理を問うことは可能だが、
「装置」自体は倫理とは直交する存在である。
「倫理的に良い扇風機」や「倫理的に悪い扇風機」が存在しないのと同様だ。
装置は「役に立つかどうか」しか問題にならない。
倫理的判断の対象になるのは人間の側の使い方であって装置自体ではない

であれば、私がまず言わなければならない事は
「私はそんな装置に殺されるのは真っ平ごめんだ」という事である。
「平和」や「核廃絶」はその次だ。
「哀れにも殺された誰か」への他人事めいた追悼よりも、
仲間を虫けらとして処理した装置(とその使用者)への呪詛が必要だ。

だから、山下氏の広島調査(に私が勝手に感じ取っている)姿勢は、
とても直球である。
「原爆とか知るかふざけんなコノヤロー(中指)、勝手にやんだこっちは」
ということなのである。

ヤンレツルは別に原爆に壊されるためにあの建物を建てたのではないし、
中島地区はあんなのっぺりとした無機質な公園になるために存在していたのではないのだ



そのことを真っ先に言わなければならないのだ。
これを気づかせてくれたのは、広島の寺町出身の祖母が話してくれた太田川での水泳の話や、
産業奨励館に自分の習字が貼り出された話、
親戚から繰り返し聞かされた、8/6の朝にむずがる子供を学校に無理やり送り出してしまった母親の後悔の話だったりした

産業奨励館隣の実家で母を亡くした田邊雅章氏が、爆心地猿楽町の町の風景をCGで再現した映像

氏の映像には人の姿は無い。どうしても描く事が出来なかったのだという
http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200807110054.html



今は平和記念公園となった、二つの川に挟まれた中島地区が
古くから栄える広島の盛り場だったという事は、高校の頃の調べ物で知った。
私の好きな広島弁。
町中にはあの鷹揚な人懐っこい言葉がしじゅう溢れていただろう。
平和学習で訪れた公園は清潔に整備されその雑踏の面影すら感じることは出来なかった

中島地区に住んでいた男性が
「原爆投下前からそこが公園であった」と誤解されるのが悔しいと涙する姿が胸に詰まった
http://youtu.be/jr99AfSgDss
すずらん燈の絵。戦前期の広島の繁栄のシンボルで、中島本通にも設置されていたという

広島市HPのFAQ「平和記念公園は被爆前も公園だったのですか?」
ウィキペディア「中島町 (広島市)」
中島地区の近隣の市街地写真

産業奨励館(現・原爆ドーム)原爆投下前外観
ヤンレツル作チェコ通産省と瓜二つ
奨励館内部の写真。物品が並びいかにも物産展



高校の時読んだ『原爆体験記』には原爆投下の日でさえ、
直前までそれぞれの普段の暮らしがあったことを知らされた
原爆体験記 (朝日選書 42)原爆体験記 (朝日選書 42)
(1975/07)
広島市原爆体験記刊行会

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ある手記には曽祖父の姿が記されていた。
手記を書いた人とそれを読んでいる自分とは、会った事もない曽祖父を介して繋がっていたのだった。

なので、個人的には、山下氏の「全部繋がってる!心配ない」という呟きには共感するところが多い



過去の人だというだけで繋がらないなんて事は無い

さてさて高校のときの広島平和研修のレポートがようやっと終わった。
これが書きたくて、でも当時書ききれずそのまま放置して、
結果10年も締め切りを破ってしまった。

広島に向かう新幹線の中で、私の途中までの小汚いレポートを読んでくれたM嬢へ…
原発事故が起こってこのノロマはやっとあのとき書きたかったことをまとめました。
今度は間に合うように…なんの締切なのかは全体分からないのだけれど。
あの時真剣に読んでくれて本当に有難う。
こんな感じで生きてきます

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カテゴリ: 原発事故関連

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